今月いっぱいで約8年勤めてきたテレビ番組制作の職を辞することになりました。

長く働いてきた業界で愛着もありますし、育ててもらった恩も感じています。それでも今、自分がいるべき場所はここじゃない。そんなふうにここ最近はずっとモヤモヤしていました。

31歳妻子ありの身分ですが、どうしてこの決断に至ったのか今日は書き残しておきたいと思います。

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まず、テレビ番組制作の中で自分が担ってきたのはディレクターという職。ざっくりいうとVTRを作る人間です。

番組のプロデューサーや総合演出といった偉い人に企画を通し、どんなロケをするかを考える。出演者や取材先とのスケジュールを組んだらカメラマンやCGデザイナー、編集オペレーターを動かしてVTRを制作。偉い人のチェックを受け修正指示があれば修正し、出来たVTRをテレビ局に納品。

番組やジャンルによっても違うでしょうが、テレビのディレクターはだいたいこんな流れで働いています。


古い企業体質



電通問題でも話題になりましたが、マスコミ業界の企業体質は基本古めです。長時間労働や、年長者をたてるという空気は当然のように存在します。

ぼくもADのころこんなことがありました。

ある特番を担当したとき、いろんなディレクターから仕事を振られすぎて1ヶ月間休むことが出来なかった。そのうち半分くらいは会社で寝泊まりしていたように思います。

その月末、労務担当のプロデューサーのもとに出勤表を提出しに行くと、返ってきた言葉はねぎらいでも心配でもなく、『なんで休んでないんだ!そんな管理も出来ないヤツいらねーよ』。

あれ?それこそ上の仕事じゃないの?

それってぼくを働かせた現場のディレクターとかに言うんじゃないの?

さすがにそのときは本気で会社を辞めようと思いました。(結局辞めませんでしたが…)

こうした状況は少しずつ改善されてきてはいますが、今年夏の時点のたのっちさんのブログでもこんな感じですから、なかなか難しいんだと思います。
自分が新人時代は1ヶ月家に帰れなかった、それくらい「誰でも一度は通る道」だから普通だった。それが何か?
っていう恐ろしいコメントです。どう考えても労基法違反だし、過労死ラインを軽々と超えています。
昔は『それでもテレビをやりたい』『日本を面白くしたい』という熱がある人が多かったと聞きます。

でも今はもう、誰もが憧れるテレビ業界じゃない。

そこをテレビ局が意識しないと、今後有能な若い人材を採用したりつなぎ留めておくのは難しいんだと思います。

ほかにも『いまだにVTRチェックしてもらうためだけにDVD作って偉い人にバイク便』とか『連絡事項しかなく議事録読めばすむだけの会議に全員出席』みたいのもありますね。

このあたりが気になる若者たちはきっとテレビは合わないはず。

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深夜の撮影中に女子大生から『いつも見てます!がんばってください』ともらったお茶。こういうのが一番うれしい。

社員との待遇に格差



テレビ業界というと一般的には良い給料をもらっているイメージがあるかと思います。実際、テレビ局(日本テレビとかフジテレビのこと)の社員は日本の上場企業の中でもトップクラスの高給取り。

2位のフジ・メディア・ホールディングスは1506万円。傘下にフジテレビジョンを持つ純粋持ち株会社だ。続く3位はTBSホールディングスで1499万円。

以下、上位を見ていくと、朝日放送(4位・1479万円)や日本テレビホールディングス(5位・1454万円)といったテレビや、総合商社の伊藤忠商事(9位・1384万円)、三菱商事(10位・1355万円)など、“高給”の代名詞的存在の社名が並ぶ。

しかし問題は、制作の現場で働く人の多くがテレビ局の社員ではないこと。ADやディレクターなど、テレビを作っている人のほとんどは制作会社などから派遣されるスタッフで、社員はどちらかというとそれを管理する側。数を比べると社員以外が圧倒的多数なんです。

そういう人たちは、そんなに羨ましがられるほどの給料をもらっているわけではありません。

たしかにテレビ局からスタッフの所属会社にはそれなりの給料が支払われています。しかし、所属会社もそれをそっくりそのままスタッフに渡したんじゃ何のために会社やってるのかわからない。だからテレビ局からもらった給料から何割か抜く。

当然と言えば当然なんですが、こうした仕組みによってテレビ番組スタッフの給料は少なくっています。自分がこの業界に長く身をおいて観察するかぎり、テレビで良い給料をもらうのは…
  • テレビ局の社員
  • 番組をいくつもかけもちしてバリバリ働くフリーランス
  • バブル期から同じ番組(or 局)にいて高い給料を見直されずにいる人
あたりですね。

フリーランスで働く実力と人脈と体力さえあれば、(減っているとはいえ)予算のあるテレビはいまだに夢のある業界とも言えるでしょうね。

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撮影で訪れたイギリス・ロンドン。テレビは予算があるので旅行好きな人はぜひ!会社のお金で旅が出来ます。

長く1つの場所にいすぎた


ここまで、いまの自分とテレビが合っていない点を書きました。しかし、当然のように業界にハマる人もいますし、学びが多いのも事実です。

例えば、とんでもない人と時間をかけて行う番組制作。

テレビの制作風景を見るとほぼすべての人が『こんなにスタッフいるんですか!?』と驚きます。中には個人で突出した能力を持つ人もいれば、膨大なノウハウを持つ番組もある。今でも若い人がテレビで働く価値は絶対ある。

また既出の画像にも書きましたが、地方や海外への出張をたくさん経験できます。番組にもよりますが、ぼくは年に2回のペースで海外ロケに行ってました。VTRを作るプレッシャーはあるものの、会社のおかげで異国に行けるのは旅好きにはたまらないでしょう。

こんな感じでまだまだいいところもたくさんあるのですが、とにかく長くひとつのことをやりすぎました。

映像制作に必要なスキルはかなり学べましたが、だんだんと新しいコトにふれる機会が減ってきたと感じるのです。

さすがにこのままじゃヤバイ。

それなら先細りする業界でズルズルいくよりも、今の実績を評価してくれるところがあるうちに転職して新たなスキルや知識を身につけたい。それが今回テレビを離れる理由のひとつです。

じゃあ今後、何をしていくかということなんですが、次の職場では主にウェブ動画を作ります。生配信とかそのあたり。自分自身、スマホやネットで動画コンテンツを見る機会が増えてきましたし、今後この流れは社会全体で加速していく。

であれば、その流れに身をおいて、吸収できるものは吸収していきたい。そんな思いです。

これまで、そしてこれから


今までの自身のキャリアを振り返ってみると、新卒で証券会社→テレビ番組制作→ウェブ動画制作と流れてきました。

新卒で入った金融業界は『自分とは合わない』と思い転職。

テレビからウェブのところでは『動画を作るのが好きなのはわかった。次は似た業界をもっと別の角度から学びたい』という感じです。

会社としては次が4社目。31歳でこの転職回数はどうなんだろう。きっともうお硬いところでは雇ってもらえないだろうな。

幼い2人の子どもはぐんぐん成長していますが、ぼくも負けずに成長していきたいと思うきょうこのごろです。


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